新型フラプシー(FLUPSY) の紹介-1

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経緯

2017年に(株)ヒューマンクリエートコーポレーション(以下(株)HCC)と西日本ニチモウ株式会社が実施する「半天然海上二枚貝種苗生産システム」の開発に対して技術支援の依頼があり,2018年夏に江田島湾内にある平田水産所有のカキ筏でマガキの種苗生産実験を行いました。この内容については別の機会に紹介する予定です。

平田水産では,シングルシード天然採苗において回収された1cm以下の小型稚貝の歩留まりを上げることを課題としていました。細かいメッシュのカゴなどに入れれば良いのですが,成長のばらつきが大きく,選別にかかる手間と最終的な歩留まりを考えると最善の方法とはいえません。

マガキ シングルシードの人工生産先進地である欧米では,カルチレス採苗によって砂粒やカキ殻砕片などに付着した稚貝は陸上のアップウエリングシステムでカゴに入るサイズまで育成した後,カゴに移して海での養殖に供します。陸上のアップウエリングシステムを海上に浮かべ天然に発生する餌プランクトンを利用するのがフラプシー(FLUPSY (Floating Upwelling System))と呼ばれる装置です。

このフラプシー装置があれば小型のシングル稚貝の歩留まりは飛躍的に向上するのは確実です。既製品を購入するという選択もありましたが,価格や設置場所などの問題があり,もっと小型でシンプルなものができないかと考えていたところでした。そこで,「半天然海上二枚貝種苗生産システム」を試験中の(株)HCCおよび西日本ニチモウ株式会社2社にその共同開発を持ちかけた次第です。

(株)HCCの海上シート製プールの製造技術を活かした既存の筏下に設置できる軽量コンパクトなフラプシーがコンセプトです。2019年の試作機では目論見通り,カゴでの育成に比べ非常に均一な成長を示しフラプシーの基本性能を確認することができました。しかし,使い勝手の悪い点があったので,これらの問題点を抽出し改良を行ったのが今回紹介する新型フラプシーです。特許共同出願中です。

組み立てと筏への設置

以下は2020年6月28日の現場設置時の写真です。

船に積み込む前の様子
作業筏上で最終組み立てを行いました。
海に浮かべ,プール内に海水を注入しているところです。
筏の下に引き入れロープで固定します。

シート製のプールを周囲のフロートで浮かせ,水中ポンプ等でプール内に導入した海水はその中に作られたアップウエリングシステムを経てプール外に排出されます。

海水を導入する水中ポンプ部分です。

江田島湾では夏季水深10m付近にクロロフィルのピークが出現します。この水深10m層の海水を利用するため,水中ポンプは長さ10mの排気ダクトの上部に入れています。このようなパイプを使用することで,表層の海水だけでなく,任意の水深の海水を利用することができます。また人工培養の餌などの添加も可能です。

新型フラプシーに関するお問い合わせは次の窓口にお願いします。

西日本ニチモウ株式会社 広島事務所
担当 井元

〒739-1414
広島市安佐北区白木町秋山1669-13
E-Mail: hironobu_imoto@nichimo.co.jp
携帯:090-8991-1289
TEL:082-205-3582
FAX:082-205-3582

次の記事では,稼働中のフラプシーを動画で紹介します。